元旅行業界関係者の旅バカ日記   ときどき 猫

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が大きくなるまで旅行業界で働いていました。もともと旅行、特に海外旅行が何より好きだった旅行バカの旅日記です。ときどき猫のお話もします。

『愛の不時着』のロケ地 in チューリッヒ②

『愛の不時着』のロケ地 in チューリッヒ


①では2箇所をご紹介しましたが、

チューリッヒの街の中にもドラマのロケ地となった場所はまだまだあります。

続けてここでもご紹介させいたいただきます。

Paradeplatz(パラーデ・プラッツ)


第9話第11話で登場したこの場所は、

ソ・ダンがスーツケースを手にトラムから降りてきた場面で使われました。

第11話ではそのシーンの直前にユン・セリが歩いているシーンが加わり、

もうひとりの主人公リ・ジョンヒョクも含めた、

彼ら3人の奇妙な縁が強調されていたと思います。


劇中でもトラムの線路が何本も見て取ることができ、

また多くの人たちが往来する様子が伺えましたが、

スイスという国が大自然だけでないということがおわかりいただけるかと思います。

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Paradeplatz


また劇中ではなかなかわからないかと思いますが、

この周辺にはクレディ・スイス銀行UBS銀行など、

世界的信頼の高いスイスの銀行があり、

ここから北の中央駅に伸びるバーンホーフ通りには

世界の一流ブランドショップが数多くあるなど、

この街の目抜き通りとなっています。


他にも劇中でも角にある建物が少し写っていますが、

Sprüngli(シュプリングリ)という名のこの店は、

チョコレート大国のスイスの中でも特に人気の高い名店です。

180年の歴史を誇っており、

「ルクセンブルゲリ」と呼ばれるマカロンも人気があります。

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Sprüngli

 

Münsterbrücke(ミュンスター橋)


最終話で 「一年後」 との字幕が出て、

高い2本の塔と川にかかる橋が写されていました。


そこで場面が切り替わり、ユン・セリがひとり橋を歩いているシーンがありました。

またさらに翌年も同じ橋の上を歩いていました。

そのときの橋がミュンスターと呼ばれており、

チューリヒの街中に流れるリマト川に架かる橋の中でも

最も多くの観光客で賑わっているであろう橋です。

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Münsterbrücke


ミュンスターというのはドイツ語で司教座の置かれた大聖堂を意味します。

英語でいうカテドラル、イタリア語でいえばドゥオーモに当たります。

ということで、この橋の名の由来は、

フラウ・ミュンスターグロース・ミュンスターと呼ばれる

ふたつのミュンスターを結んでいるからです。

 

フラウ・ミュンスター(Fraumünster)は日本語では聖母聖堂と訳されます。

853年フランク王国カール大帝(シャルル・マーニュ)のひ孫である

ヒルデガルトという女性のために建てられた女子修道院が前身です。

「フラウ」はドイツ語で女性という意味で、

ここでは「聖母」と訳されるのは間違いのようです。(英語版Wikipediaによる)

英語圏聖母に捧げられた教会として「(Church of )Our Lady」

フランス語圏でもパリのものが特によく知られていますが「Notre-Dame(ノートルダム=我らの貴婦人)」

訳されているので、同じような解釈がなされたのでしょう。

しかし先に述べたように、この教会はもともと聖母マリアにではなく、

ヒルデガルトという女性のために捧げられたというのが実際のところのようです。

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フラウ・ミュンスター


 
なおこの教会の内部にはかのマルク・シャガールの作成したステンドグラスがあります。

ユダヤ人であったシャガールですが、

キリスト教会のために宗教を超えて作成しました。

彼のステンドグラスは5つのシーンがそれぞれ鮮やかな色でつくられていますが、

キリストも、ユダヤ的な旧約聖書の場面も描きました。

このときすでに80歳を超えていた彼の作品には驚嘆せずにいられません。

(なお彼はドイツ・マインツのシュテファン教会にもステンドグラスを残しています)

 

もう一方のグロース・ミュンスター(Grossmünster)

日本語で「大聖堂」(grossというのが「大きい」という意味)、

もしくはそのまま「グロース・ミュンスター」と呼ばれています。

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橋の上から見たグロース・ミュンスター


こちらはもともと西暦800年にカール大帝によって建てられたものが前身です。

16世紀になりスイスの宗教改革ツヴィングリが司祭をつとめ

この街、ひいてはスイスのドイツ語圏での宗教改革に大きな影響を与えました。

2本ある塔のうち1本は本来であれば登ることもできますが、

残念ながら今回わたしが訪れたときは修復工事中で登ることができませんでした。

この教会の2本の塔はとても目立つため、

劇中の他の場面でも 何回も登場しています

特にオープニング映像で主役のふたりが

ここを背景に交差するところはとても印象的です。


Lindenhof(リンデンホフの丘)

 
まずはオープニング映像の中盤で主役の二人が交差するシーンです。

先述した2本の高い塔を持つグロース・ミュンスターが見えています。
 

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リンデンホフの丘からの眺望


また最終話ではユン・セリがミュンスター橋を歩いていたシーンのあと、

場面が切り替わって噴水のそばでピアノを弾いていた男性を

リ・ジョンヒョクと見間違えるシーンでも登場しました。
 

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リンデンホフの丘の噴水


このリンデンホフの丘

ローマ時代の城塞、そして中世カロリング朝の居城があった

歴史的にも重要な場所です。

リンデン(Linden)というのは英語でも同様ですが菩提樹」のことで、

ホフ(hof)は中庭(英語でいうとcourt)などと訳されます。

その名の通り、この丘にある公園には菩提樹が生い茂っています。

リマト川向こうまで見渡すことができる展望スポットです。

そのため観光客も多く訪れますが、

地元の方々もよく訪れる憩いの場となっています。

リマト川とは反対側では、

ブランコで遊んでいる子どもたちや

チェスを指している大人たちの姿も目にできます。


また日本ではまだあまり良く知られていないかもしれませんが、

「ペタンク」という鉄球を用いたフランス発祥のスポーツも楽しまれていました。

 

 
以上が『愛の不時着』の劇中で登場したチューリッヒの主なロケ地です。


オープニング映像を除けば、実はリ・ジョンヒョクはこの街では登場していません。

むしろこのチューリッヒではユン・セリとソ・ダンという

ふたりの女性の奇妙な縁が見られた場所でした。


このふたりではありませんが、

街の中には買い物ができるところもたくさんありますし、

これから山に行く方も、

帰国されるという方も、

この歴史ある街を歩いてみたり、ショッピングを楽しんでみてください。